chronic life

地下室の屋根裏部屋で

LOVE or LIKE/石田衣良・中田永一・中村航・本多孝好・真伏修三・山本幸久/祥伝社

「あれもある、これもあるって山のようにきれいなページを見せてくれるけど、全部ただの広告なんだ。いざ、ほんとうにほしかったものに手を伸ばすと、絶対それは手にはいらない。愛だとか、切なくなるほど好きなんて気もちは、絶対続かないようにできてる」(p.33)

 ――はい。ただ、もしかしたら告白とかするかもしれないので、あまり緊張しない感じの店がいいです。(p.149)

LOVE or LIKE

LOVE or LIKE

以下、各賞についてのコメントです。

リアルラブ?/石田衣良

  • 仕事量をセーブしま賞

珠玉の名言「書けばいいというもの(以下自粛)」を、まさか僕自身が口にすることになろうとは。本当、石田さん、もう大丈夫ですから。

なみうちぎわ/中田永一

  • 早く単行本を出しま賞

もし仮に、このアンソロジーのシリーズでしか中田永一が書かないのならば、仕方がない。そのためだけにこのシリーズを読み続けるしかないな、と想った。それくらい素晴らしかった。

ハミングライフ中村航

  • 憎いあんちく賞

最初にこのフレーズを想い付いてしまったものだから、全作についてこういった変則的な手法を取っている訳ですが、小説を読んでこんなに恥ずかしい想いをしたのは久し振りでした。「ウロポスト」とか「ウロレター」と云うネーミングセンスは、嫌いじゃないんだけどなぁ。あ、「ウロボロス」に似ているからかも知れない。安直だ……。

DEAR/本多孝好

特に深い意味(褒めてるとか貶してるとか)はないんですが、何か微妙に片山恭一っぽい感じがしました。そ、それだけ。

わかれ道/真伏修三

  • こっちが本物の片山恭一だったらどうしま賞

上記の「DEAR」をそんな感覚で読み終わったのに、こっちも何だか片山っぽくてどうしようかと想いました。基本的に、覆面作家の略歴は嘘アリだと想っているので、これが片山恭一である可能性も、全くなくはない気がしています。とは云え、これだけ名前を出しておいて、僕は片山恭一の小説を一冊しか読んでないんですけどね(勿論、例のアレ)。あ、市川拓司って線もあるかもなぁ。……凄い二択だ。

ネコ・ノ・デコ/山本幸久

  • どうしてこのアンソロジーに収録したんで賞

引っ掛かる点も多々あるのですが、『LOVE or LIKE』と云うアンソロジーにこの作品をぶつけてきた心意気は買いたい。と云うか、そういうの嫌いじゃない。取り敢えず、この作者と一回、酒を酌み交わしてみたいと想った。『LOVE or HATE』にも再録可。一応、裏ベスト