変な本だった。変だけど、面白い本だった。そしてとにかく、読むのが大変だった。僅か120頁の本書を読み通すために、読者は約1,600回ほども頁を捲らなければならない。それがこの本最大の特徴にして、読書と云う行為に対する、最大級のサプライズとなっている。ある種飛び道具のような文字組みやレイアウトを別とすれば、話的には乙一っぽいと感じるような雰囲気もあったりしたのだけれど、どうにも一筋縄ではいかない。やはり、「変な本」としか云いようがない、内容も含めて。個人的に一番好きだったのは「三か所の二人」で、もしかしたらこの形式は、長くなればなるほど中毒性のようなものが増していくのかも知れない、と感じた。この形を生かした大長篇と云うのを読んでみたいような気もするのだが、多分無理。この長さが限界です。とは云え、福永さんの小説はもっと読んでみたいので、雑誌に載ったり本が出たりしたらいいな、と想います。
- 作者: 福永信
- 出版社/メーカー: リトルモア
- 発売日: 2001/05
- メディア: 単行本
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