chronic life

I can (not) have relations.

涙そうそう

で、これが二本目です。どうして『某ワールドシリーズ』じゃないんだ?と訊かれたら、「渋谷の映画館でしか使えない特別鑑賞券を買ってしまったので(今日行ったのは立川の映画館)」と普通に答えるしかないんですが、そっちも必ず近い内に観に行くつもりです。いや、絶対観に行きます。だって、鑑賞券買ってるし。で、話を戻して『涙そうそう』ですよ。公開されてからずっと観に行こうと想っていたんですが、漸く観ることが出来ました。こちらは『虹の女神』と違って、予想通りと云うか期待通りの出来だったと想います。と云うか、長澤まさみ妻夫木聡麻生久美子塚本高史森下愛子……って辺りが、一つの画面の中で絡んでいるのを観られたら、僕はもう充分満足な訳ですよ。ぶっちゃけ、話が超つまんなかったとしても、それだけで千円の価値はあると想う。少なくとも、僕にとっては。だから、観たのが今日だったと云う時点で、「損したなぁ」と想うことは100%なかった訳です(映画の日は一本千円ですから)。で、ストーリー自体も、結構自分の好きな感じだったんですよねぇ、途中までは。いや、終盤までは。とにかく、「血の繋がらない家族(特に父娘か兄妹)もの」には目がない僕としては、もう設定を聞いた時点でアリだったんです。だから、台風のところくらいまでは凄く良かったんですよ。ただ、そこから先がかなり強引と云うか、説得力に欠けたかなぁ、と。そりゃあ、哀しいですし泣きましたけど、この展開はちょっと……。以下、『虹の女神』と本作の内容に大きく触れてしまうので畳んでしまいましょう。その前に一言だけ。オバアは反則。あんなもん、誰でも泣くっちゅうねん。あー、スッキリした。

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涙そうそう (幻冬舎文庫)

涙そうそう (幻冬舎文庫)

先日読んだ『愛のついてのデッサン』の中に書かれていたんですが、「ヘミングウェイは語っている。長篇小説の終り方は二つしかないとね、つまり結婚か死か」だそうで。これはある意味、長篇映画にも云えることで、今日観た映画は二本とも、主人公二人の内の片方に「死」が訪れます。『虹の女神』ではそれがあおいで、『涙そうそう』では洋太郎です。しかも、それが両方二十五歳の時だと云うから、僕なんかは二度びっくりしてしまいましたが。更に『涙そうそう』においては、エンドロールの後で、幼い頃のカオルが「大きくなったら兄ィニィ(洋太郎)のお嫁さんになる」と云っているシーンが挿入され、血の繋がらない兄妹の「結婚」さえ幻視させる。全くもって、よくもまぁこれだけ詰め込んだなぁ、と。そういう意味ではやられたと想う。って云うか、今パンフレットの最後の頁に付いている手紙を見付けて、かなり「やられた!」と想ってる真っ最中なんですけどね。これは、卑怯だ……。まぁ、「涙そうそう」の歌詞と添い遂げるのならば、こういう終わらせ方しかなかったんだとも想いますが、吉田紀子さんならもう少し巧く出来たんじゃないかなぁと、想わず高望みをしてしまう訳です。