chronic life

I can (not) have relations.

ツ、イ、ラ、ク/姫野カオルコ/角川書店

ツ、イ、ラ、ク

ツ、イ、ラ、ク

読了。是は本当に素晴らしい。大絶賛と云うか、感無量。読まれた方が皆さん褒めていた気持ちが善く判る。とてもいい、恋愛小説ですね。前半を読んでいる時は、キャラの個性も掴めてないし、どうにも視点が定まらなくて、一体誰が何を想って何をやってるのか、イマイチ把握し切れなかったのだけれど、中盤を過ぎた辺りから、その筆致が急激に効いて来る様は、読んでいて想わず膝を打つ想い。時に笑い時に泣き、時に刹那さに胸を締め付けられる。読み終わるとまるで、恋愛小説のデラックス幕の内のような読後感があると共に、余りにも憎いその終わり方に、図らずも感嘆の声が漏れてしまう。いやはや、何なんでしょうこの小説は。凄いね、凄いとしか云いようがない。この小説を読んだ後に、僕は一体どんな恋愛ものを書こうとしてるんでしょうねぇ。そして、眼の前には『万物理論』が……。