僕は、珍しくオチのないシリアスな結末に、ただ、立ち尽くすしかなかった。(p.208)
多分、初新堂。最初の一冊がこれで良かったのかどうかは判然としませんが、予想していたよりも普通に面白かったです。時に「黒新堂」「白新堂」なんて分類を耳にしたりしますが、これは何と云ったらいいんでしょうねぇ。「ピンク新堂」? それか、無難に「灰新堂」でもいいですけど。取り敢えず、主人公のあきおは週六で働いているので、帯の「ファンタジック・ニート青春小説。」と云うのはどうかと想います。けど、まぁ、最後まで読めば……。そう、その脱力的なラストが、この小説の最もアピールすべき点ではなかろうかと。この脱力感はある意味、鳥飼否宇の諸作にも比肩し得ると、僕は考えます。だって、これは凄いですよ。こんなオチ、他の人は書きませんって。……いや、鯨とかならやりかねないけど。そうか! 青春小説や恋愛小説、或いはオタクの妄想話だと想って読んでしまうから、この作品の本当の魅力に気が付かないんですよ。これは、毅然たるバカミスです。そうだ、そう考えれば凡ての辻褄が……合わねぇよ。
- 作者: 新堂冬樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/08/22
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (17件) を見る