読んでいる最中ずっと、「これはなんて個人的な小説なんだ。とても、何百万人もの読者を獲得するような小説には想えない」と感じていたのですが、「あとがき」まで読み進めてみると、同じ意味合いだとは想いませんが、作者自身も「この小説はきわめて個人的な小説である」と書いていて、何だかすっかり腑に落ちたような気がしています。そう云えば、『世界の中心で、愛をさけぶ』を読んだ時にも、同じようなことを感じた気がするので、もしかしたら世の中って、僕が考えているよりも遥かに強く個人的なものを求めているのかも知れません。何だか凡て、他人事みたいな云い方ではありますが。それと、「個人的な小説」と云うのと同じくらい感じていたのが、「何だかこれって、新聞小説みたいだなぁ」と云うことで、そう感じた大きな要因の一つはやはり、執拗に繰り返されるセクシャルなシーンの描写にあると想う。なんかもう、エロいとかそういうことではなくて、ちょっと多過ぎて食傷気味になってしまった。そういうのが、僕の偏見に満ちた新聞小説のイメージに見事にハマってしまった訳です。
何だか、外堀を埋めるようなことばかり書いてしまいました。ちょっと後悔。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1987/09/10
- メディア: 単行本
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