雑誌『一冊の本』に「往復書簡 日々のレッスン」と云うタイトルで連載されていた、小島信夫と保坂和志の往復書簡を書籍化したもの。なのだが、これはやはり小説なのではないかと想ってしまう。保坂さんの書いたものは、大抵何でも小説のような気がしてしまうのだが、小島さんの文章はそれに輪を掛けて凡てが小説のようなのだ。小説のような小説の話、と云うのが一番合っているような気がする。
保坂さんの書かれている内容は、連載時期が被っていたせいか『世界を肯定する哲学』と重なる部分も結構あって、この時期に考えていたことを受けて書かれたのが『カンバセイション・ピース』かと想うと、また近い内に再読したいなぁ、と想いました。
それと、僕の個人的印象として「あの保坂和志が煙に巻かれている!」と云うのがかなり衝撃的で、もうそれだけで小島信夫と云う人がどれほど凄い人なのか、朧気ながら判ってしまったような気になった。と同時に「この人の書いた小説が面白くない訳がない!」とも確信致しました。と云う訳で、次は『抱擁家族』を読むことにします。
- 作者: 小島信夫,保坂和志
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2001/09
- メディア: 単行本
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