chronic life

I can (not) have relations.

終業式/姫野カオルコ/角川文庫

人生には卒業式なんかなくて、あるのはきっと、うっかり卒業式のつもりで出てしまった終業式ばかりなのではないだろうか。短い休みの後に待っているのは、結局いつもただの新学期なのだ。だって、人生って終わらないじゃないですか――。
この小説を読み終わって、最初に想ったのはそんなことだった。生きている限り、これからも何があるか判らない。残念ながら小説はここで終わるけれど、彼らの将来・未来に、この後一体どんな更なる波乱が待ち受けているかなんて、誰にも判らない。小説は終わっても、彼らの物語は――人生はまだ終わっていないのだ。
P289から始まる4頁ほどの手紙に、僕は大変感銘を受けた。と云うか、今の僕の考え方に非常によく似ていて、とても他人が書いた手紙とは想えなかったのだ。その手紙だけ全文引用したいくらいですが、ちょっと長いのでお持ちの方はそれぞれご確認下さい。ここだけ立ち読みするのはちょっと拙いかも知れないので、あまりお勧めはしませんが。小説自体は、かなりお薦めです。
それにしても、この小説の登場人物は本当に手紙とかそれに類するものを沢山書いてるよなぁ。僕なんか、生涯で五通書いたかどうか、ってくらいだもん。あ、メールとかそういうのもアリなら、全然増えるけど。けどやっぱ、手書きのものとメールとかはちょっとニュアンスが違うよなぁ。だからこそ、僕はあんまり手紙を書かない訳ですが。
あ、忘れてた。とっても面白かったです。素晴らしい。

終業式 (角川文庫)

終業式 (角川文庫)