これは紛れもなく、保坂和志の書いた文章である。それ以外には、何とも云いようがない。正直、僕の中では既に保坂和志の文章と云うものは、聖典にも近い存在になっているので、どうにもそれに対して僕如きが何かを云ったり書いたり出来るような立場にはない、と云うかそういう心持ちになれない、と云うのが率直な心境だったりしている。と、ここまでの文章を凡て覆すようだが、一番好きだったのはⅤで、特に「想像力の磨耗」や「所感」、「ひたすら考えるということ」辺りは本当に素晴らしく、コピーして街中にばら撒きたいくらいだったりする。それ以外にも、Ⅲの「文学のプログラム」やⅣの「小島信夫『うるわしき日々』を読む」なんかは、小説を読んだり書いたりしている人は、皆読めばいいのに、と想った。嗚呼、保坂和志は本当に凄い人だなぁ。
- 作者: 保坂和志
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
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