chronic life

地下室の屋根裏部屋で

小説の誕生/保坂和志/新潮社

「だから」と思考を急いで統合しないで、しばらく考えが出てくるのに任せよう。「だから?」と言われたら、「そんなことは知らない」だ。(p.379)

小島信夫の『残光』が小説であるならば(勿論、僕はそう確信している訳ですが)、この『小説の誕生』も小説であるとしか想えない。とは云え本書が、万人にとっての「小説」である、と断言するつもりは格別ないが。また読みたい本、と云うか読まなければならないと想わせる本が沢山増えてしまったのだけれど、その中でも特にミシェル・レリスの『ミシェル・レリス日記』と、レーモン・ルーセルの『アフリカの印象』と『ロクス・ソルス』が非常に興味深かった。と、ここに書き残しておかないと、固有名詞を忘れてしまいそうなので。後は、一人物として荒川修作に何度も言及されていたので、これはもう気になるなと云う方が無理な話でして。そう云えば、この人については高橋源一郎も触れていたような気がするなぁ。どんだけとんでもない人なんだ、荒川修作と云う人は。

小説の誕生

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