chronic life

I can (not) have relations.

読了しましたよ、漸く。読み易かったし、面白かったし、麻耶さんらしかったし、ラストのカタルシスも恐れ入ったし、文句無しです、はい! デビュー作の『翼ある闇』や、超問題作と云われた『夏と冬の奏鳴曲』等と較べると、幾分端整な作りになっている気がするが、別にそれがマイナス面になっている訳でも無く、寧ろ正当なミステリーとしての美しさは、こちらの方が上とも云えよう。何しろ、一応はちゃんと解決するし(失礼)。いい処で象徴的に現れる鴉もカッコ良かったし、閉鎖的な村の雰囲気、変奏曲的宗教観、驚愕の大鏡の真実も、第一、ファンタジー的とも云える、架空の設定を持った村世界が、緻密に計算し尽くされていると云うだけでも、この本は一読の価値有りですよ。まぁしかし、最後の最後でメルが齎すあの衝撃の事実は、多少予想していたとは云え、矢張り驚きでしたね。一応自分的には納得の行く解釈が出来ている積もりですが、果たしてそれが本当の真相かどうかは、微妙な処。ネタバレを恐れずに云えば……いや、やっぱそれは止めとこう。だって、曝しといて全く的外れの考えだったら恥ずかしいし(笑)。
後、本編と関係無しに勘繰ってしまうとメルって本当にあの村の末裔なのか?と……。又『翼ある闇』を読み返さないと、メルの両親のことが今一想い出せないぞ(笑)。次はメルの短篇か、『あいにくの雨で』かな? でもその前に、眼の前にある本を片付けないと……。