こういう云い方は変かも知れませんが、中野商店だったら僕でも働けるような気がしました。多くの小説には、働いている人やその職場が登場するけれど、自分でも働けそうだと想ったのは、多分これが初めてなんじゃないかな。そして、なるべく長くいたかった。長く、長く、この店にいたかった。ヒトミとタケオの危うい関係に、一番ハラハラさせられたけれど、それはきっと実年齢との近さもあるように想う。しかし、そんなことは差し引いたとしても、p.264の中ほどにある「のたれ死にしている〜」から始める一段落は、特筆すべき素晴らしさじゃなかろうかと。出来れば全文引用したいくらいなんですが、ちょっと長いのと勿体ないのが相俟って、今日のところは止めておきます。とは云え、一番のお気に入りは丸山氏ですけどね。それにしても、川上弘美は本当に凄い。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04/01
- メディア: 単行本
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