これは愛についての小説だと想う。それは、本への愛であり、歌や詩への愛であり、家族に対する愛であり、恋をしている人への愛であり、そしてアレへの愛であると。少し恥ずかしくって、何だかもどかしくて、けどクスッと笑えて、勉強にもなったりして、時にハッとして、ちょっぴりしんみりもしたりして……。グッと凝縮された人生の機微って奴が、季節のようにひっそりと巡り、読んでいる間に僕も丁度、作中と同じ一年を過ごしたような気持ちになりました。終盤、このままでは些かセンチメンタル過ぎやしないだろうかと想っていたところで、驚きの展開が。もう……好きだ。大好きだ。申し訳ないですけど、こういうの素直に受け取っちゃいますよ、僕は。だから、何から何まで全部面白かったです。あー、最高。
- 作者: 久世光彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/06
- メディア: 文庫
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