chronic life

地下室の屋根裏部屋で

文芸時評という感想/荒川洋治/四月社

ぼくは、きれいな女性が男性をとことん好きになるなんてもったいない、そんなことがたびたびあってはならないという、おかしな考えをもつ人間なので、このような恋を見ると、光に打たれるようでまばゆい。(p.305下段)

端から端まで存分に楽しんでおいて、引用するのそこかよ!とか云わない。唐突にも本書の内容と関係ないことを書き始めてしまうと、僕はこの本を読んで初めて知ったのが(しかも、本文を凡て読み終わった後のp.340*1で)、荒川洋治は私の父と同じ1949年生まれであった。だからどうした、と云われると全くもって云い返す言葉の一つもないのだが、やはり「父親」と云う存在に関して些か厄介な葛藤を抱えている身としては、そう云った細かな符合が妙に気になって仕方がないのだ。と云うか、荒川洋治って、もうちょっと若いかと想ってたんですよ(保坂和志と同じくらいかと……)。因みに、村上春樹も1949年生まれ。
横道に逸れるのはこれくらいにしますか。とは云え、まともな感想を書く気は更々ないですがね。「この面白さを誰かに伝えたい!」と想う分まで、読んでいる最中に僕が楽しんでしまいましたから、自分が特に気に入ったところを厳選して五つだけ列記して(掲載順)、本書の感想に代えたいと想います。「とにかく読め!」とさえ云わない。「感動を超える感想」(1993年5月)、「明るい空気が動く」(1999年11月)、「村上春樹だけが書いている」(2000年3月)、「『豊かさ』のなかの豊饒」(2001年10月)、「筆力の愛」(2001年12月)。

文芸時評という感想

文芸時評という感想

荒川洋治、凄ぇ! 一先ず、早急に久世さんの『蕭々館日録』を読みたいと想います。
蕭々館日録 (中公文庫)

蕭々館日録 (中公文庫)

*1:ノンブルは振ってないけど