chronic life

I can (not) have relations.

『群像』2006年5月号「新人15人短篇競作」その5

今日読んだ中では、三浦しをんが群を抜いて良かったです。いや、「今日読んだ中」と云うか、これまで読んだ13作の中でも一番面白かったと想います。そんな訳で、畳みます。

冬の一等星/三浦しをん

これまでで、一番短く感じました。多分、それだけ面白くて「もう終わっちゃうのか!」と感じたからだと想います。全体のバランスもいいし、細かいところも巧い。それに文章の肌触りもとても良くて、やっぱ三浦しをん読まなきゃ駄目だな、と想いました。文蔵がね、いいキャラなんですよ、本当。いやー、良かった。

鯉の行方/宮内聡

小説としてどうこうと云うよりも、精神的にどうしてもこういうモチーフには過剰反応してしまうのです。特に父親と再会するシーンは、何とも云えない微妙な気持ちになってしまいました。やはり僕は、「生き物としてのサイクル」に乗りたくないと想っているんだなぁ、と云うことが再確認出来て良かったです。

闇を囲う/望月あんね

うーん、全体の雰囲気としては嫌いじゃないんですが、ラストがもうちょっとグッと来るといいなぁ、と。僕の大好物な「愛故の狂気」の域まで達してくれるともっと良かったんですが。まぁ、そういうことでもないのか。それにしても、排泄物絡みのネタがこんなに被るとは、一体どういうことなんだろうか。並び順の問題なので、特に誰が悪いと云う訳でもないんでしょうが。

群像 2006年 05月号 [雑誌]

群像 2006年 05月号 [雑誌]