chronic life

I can (not) have relations.

『群像』2006年5月号「新人15人短篇競作」その4

今日読んだ三作も、なかなか良かったと想います。後はもう、僕の趣味に合うかどうかと云う点でしか、何も書けないような気もしますが。そんな感じで、やっぱり畳みます。

夜を泳ぎきる/樋口直哉

昨日書いた「全15作中、タイトルで特に気になっていた二作」の内のもう一つだったんですが、期待に違わず面白かったです。主人公と彼女の、小競り合いとさえ云えない微妙な空気感や、その後の可哀想だけれど情けないところとかが、とてもよく伝わってきて良かったです。もっと長いものも読んでみたいと想ったので、取り敢えず気になっていた『さよなら アメリカ』を読んでみるつもりです。

桜の膳/ピスケン

僕が想う、「如何にも文芸誌に載っていそうな短篇」のイメージにとても近い感じがしました。全体の雰囲気が大人と云うか、結構上の世代の人が書いてるような印象を持ったんですが、やはりどうやらそのようです。いや、まぁ、だからどうだと云う話なんですが、微妙にちょっとノリ切れなかった部分があったのは事実です。多分、単語(固有名詞)のセレクトとか、そういう問題だとは想うんですけどね。

ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ/前田司郎

僕だったらきっと、タイトルは「ファナモ」だけにしちゃうなぁ。サプライズと云うほどでもないでしょうが、ファナモが一体何なのか、作中で明かしたかっただろうし。非常にお腹の弱い身としては、単純にファナモが羨ましいなぁ、と想いました。近い将来、導入されないかしら。後、語り手の思考の流れと云うか、語り口も良かったと想います。

群像 2006年 05月号 [雑誌]

群像 2006年 05月号 [雑誌]