chronic life

地下室の屋根裏部屋で

ハチミツとクローバー

つらつらと書いていたら、想いの外長くなってしまったので、全文隠すことにします。以下の文章は、基本的に映画を観た人に向けて書いておりますので、その旨ご了承下さい。
http://hachikuro.jp/

ハチミツとクローバーfilm story (コバルト文庫)

ハチミツとクローバーfilm story (コバルト文庫)

ハチミツとクローバー ―PHOTO MAKING BOOK

ハチミツとクローバー ―PHOTO MAKING BOOK

ハチミツとクローバー』を実写で映画化(しかも二時間で)したと云う限りにおいては、これで上出来じゃないかなぁ、と想います。それは、僕が元々そんなに原作に想い入れがないせいかも知れませんし、観ている途中で「これは完全に原作から設定だけを借りた、アナザーストーリーみたいなもんだ」と割り切ってしまったからかも知れません。どちらにしても、あまり称讃しているようには感じられないかも知れませんが、僕が予想していたよりは面白かったです。僕が何点くらいを想定してこの映画に臨んだかは、敢えて口には致しませんが……。
と、何だか結局、苦言を呈しているだけのような気になってきてしまったので、良かったと想う点を挙げていくと、個人的には、はぐ以上に実写化が難しいと想っていた森田さんを、伊勢谷友介なりに(或いはこの映画なりに)ではあるけれど、ちゃんと形にしていたと云うところが先ず一点。勿論、原作の森田さんをそのまま実写でやろうとしたらとんでもないことになってしまうので、ある一側面を切り出して、にはなってしまっているけれど、それでも僕はアリだと想った。次に、蒼井優演じるはぐも良かった。映画本篇の前に『ただ、君を愛してる』の予告篇が流れて、「宮崎あおいもアリだったかなぁ」と云う考えが一瞬頭を過ったのですが、本篇に入ったら直ぐに「はぐを実写で演じられるのは、蒼井優しかいない」と想い直したほど。あの繊細さと無邪気さと無防備さと溢れ出る才能を体現出来るのは、世界レベルでも蒼井優ただ一人ではないだろうか。って、絶賛し過ぎかな。次、加瀬亮演じる真山は、原作以上のストーカーっぷりを見せ付け、「これはもう、犯罪スレスレって云うか、犯罪だな」って感じが面白かった。と云うか、実写にするなら、これくらいキモくないとね、真山は(笑)。実は、一番の収獲だと想ったのは、最も期待していなかった関めぐみで、時々「あれ、栗山千明?」と想ってしまった以外は、見事に山田あゆみを演じ切っていたと想う。踵落としをするシーンがなかったのが、悔やまれるばかり。僕が原作で最も好きなキャラクターである修ちゃん(と敢えて書いてみる)を演じた堺雅人も、他のキャラ同様、勿論原作そのままではないのだけれど、ちゃんと「修ちゃん」していたと想う。って云うか、理花さんが西田尚美で、原田が田辺誠一って云う3ショットの昔の写真だけで、僕はご飯三杯はいけるなぁ(どんな思考回路だよ!)。この辺のキャスティングは、本当に絶妙だと想う。いや、若手の配役も良かったけどね。あ、不思議と主人公の竹本君に全然言及してなかったけど、別に櫻井君が駄目だったって訳じゃないですよ。何と云うか、これは原作にも云えることかも知れないけれど、ポジション的にあんまり目立たないと云うか、キャラクターを爆発させるところがなかなかないもんだから、いいとも悪いとも云い難いと云うか……。いや、はぐが大変な時にTVとかに出ちゃってる森田さんに一言云いに行って、そのまま自転車で自分探しの旅に出ちゃう辺りは、竹本の見せ場ではあるんだけれど、それと同時進行的に色んなところで色んなことが起こっちゃってるもんだから、竹本個人のエピソードとしては、見せ方が弱かったかな、と。まぁ、森田とはぐのあのシーンと、真山と山田のあのシーンと、竹本が自転車で駆けるシーンが全部一夜の出来事なもんだから、そりゃあどこに集中したらいいのやら……と想ってしまうのは、仕方ないことではなかろうかと。いやー、全体としてはかなり盛り上がってたんですけどね。しかし、修復士の役が中村獅童なもんだから、ちょっとそこだけ一瞬、映画の世界から現実の世界に気持ちが戻ってしまって……本当、劇中の竹本じゃないけど、櫻井君も少し可哀想だったような気がします。それも、僕の気のせいだといいんだけど。と云う訳で、キャストは概ね素晴らしかったです。マリオとルイジを演じた堀部圭亮さんと宮崎吐夢さんや、銀粉蝶さんとかも良かったし。
うわっ。何を書こうか悩んでいた割には、結構な分量書いたなぁ。って云うか、かなり想い付きをそのまま書いちゃってるところがあるので、あまり本気に取られませんように。映画の日に1,000円で観たので、基本的には満足しております。帰りに、パンフレットを買っちゃったくらいには。