chronic life

地下室の屋根裏部屋で

プレーンソング/保坂和志/講談社

読了。保坂和志のデビュー作。こんな小説が書きたい――と云う台詞は、もうあまりにも云い過ぎてしまって、逆に説得力がないような気がしてしまっているので*1、ちょっと別の視線から。
この小説が発表された当時、どれくらいの反響があって、どれだけの人達に読まれたのか、今の僕にはよく判らないのだけれど、とにかくこの小説は、今のこんな時代にこそ、多くの人に読まれるべき小説なんじゃないかと想った。それも、僕みたいに宙ぶらりんな人とか、僕よりもっとふわふわしてる人とか、僕よりは少しだけ地に足が着いている人とか、或いはもっと全然本当にちゃんとしてる人とか、そういう人達に、僕はこの小説を読んで欲しいと想ったのです。若いとか年取ってるとか、そんなことはあんまり関係なくて、きっと今、こういう小説を求めている人は、沢山いるような気がするから。ちょっと意図的に読点を増やしてみた。
出てくる登場人物は皆それぞれに個性的且つ魅力的で、語り手である「ぼく」の性格なんかかなり好みだし、ゴンタなんか最高に格好良いんだけど、それでもやっぱり僕は、島田が一番好きかなぁ。何か、よく判んないけど。と云うか、読んだ人に一人ずつ「好きな登場人物、誰?」って訊いて回りたい感じですけどね。
よし、次は『草の上の朝食』だ。

プレーンソング

プレーンソング

*1:自業自得なんですが