chronic life

I can (not) have relations.

上弦の月

真夜中のドライブ。とは云え未だに何の免許も持っていない僕に乗れるのは、自転車位なもので。小腹が空いたのと、今日のテキストのネタ何か落ちてないかなぁと想って、僕は徐に外に出た。昼間とか多少天気が悪かったのかも知れないが、月は綺麗に見えていた。明日はきっと、良い天気だろう。
自転車で風を切りながら僕は、涙って雪みたいなもんじゃないかなぁとか想っていた。ふと訪れる人生の刹那な冬に舞い落ちる、小さな雫。僅かに落ちる分には美しいとか情緒があるとか云ってられるけど、大降りになると本人も廻りも後始末が大変。別に徒然に想っただけなので、特に結論とかはない。まぁ、デフォルトだけどね。
スナックが連なった通りからは、一青窈の「ハナミズキ」のカラオケが聞こえていて、想わず僕は鼻唄っていた。その猫を見たのは、そんな時だった。その猫は「スナック生駒」の紫のスタンド看板の脇にいて、両目だけが異常に光っていた。自転車のスピードを落としてじっくり見てみると、どうやら黒猫らしい。もしかしたら、とても濃い何か別の色だったのかも知れないが、そこまで判る明るさではなかった。
明日に続く――。