chronic life

I can (not) have relations.

小説・読書生活/関戸克己

残りの短篇(と呼ぶには怪しいのも一つあったけど)三作を読み終わり、読了。
何とも云えぬ読後感です。最初の表題作(「小説・読書生活」)では無いですが、丸で飲み込むように、注ぎ込まれるように躰の中に侵蝕して来ます。それは言葉であり、フレーズであり、センテンスであり、イメージであり、情景であり、夢であり、幻想であり、物語です。而して、それが集まり束になって脳内で結実してみた処で、何か有益なものに化学反応が起こる訳でもなく、唯唯、その高波のような、土石流のような流れと勢いに押し流されてしまうだけなのです。しかし、それが全く苦にならず、寧ろ快感なのだから始末が悪い。丸で、麻薬か覚醒剤である。飲むと云うことに拘るならば、アルコールか――等と仕様も無いことを云っていても仕方ないのだが、兎に角非常に堪能致しました。
ぶっちゃけ、装幀は如何なものかと想うのですが、なかなかどうして、中身はしっかり予想以上の出来で御座居ました。
関口君のモデルでは?等と、実しやかに云われておりますが、彼の作品とは全く異なった作風ではあるが、是は又一興。是以上新作が読めないのは残念なことですが、あって然るべき作品だったかと。
彼の眼に、この世界がどのように視えていたのか知る為の、殆ど唯一無二の副読本。
次は、msn再読シリーズ二作目篇。トップバッターを務めるのは、勿論彼――舞城王太郎の『暗闇の中で子供』です。出来れば、今月中に読み終わりたいなぁ……。