chronic life

I can (not) have relations.

クリスマス・テロル

読みました。読み終わりましたよ。そして、漸く判りましたよ。どうしてこの作品が色々な処で、あれ程問題作だの傑作だの駄作だのと、毀誉褒貶著しいのか。凡ては、あの「終章」の所為なのか……。納得。しかし僕個人としては、かなり好みな部類ですな、正直。何故ってそれは、僕が書こうとしている(或いは書いた)作品と(ほぼ)同じ手法が取られているからですよ。文中に唐突に現れる作者の囁きや、自覚的なパクリやお遊び感覚。或いは『勝手に改蔵』的な、譬えの妙。「ドグラ星の王子」とか、一体どれだけの人が判ってくれることか? いや、そんなことを評価しても、ユヤタンは喜んでくれないのでしょう、多分。そんな瑣末な部分はきっと、彼の云う「スペックを落とした」部分に当たるのだろうし。だから、声を大にして云いましょう。それを抜きにしても矢張り、とても面白かった――と。作品そのもののぶっ飛び加減は勿論、密室本にあるまじき、驚愕の密室トリック! アレってやっぱり、関○君と同じでは――? そして、随処に垣間見える、彼の作家としての悲痛な叫び。表現者としての怒りと憤りと諦観。そして最後の、あの宣言。だが僕は知っている。その後の、今の彼の状態を。彼は、未だこちらの世界に背を向けてはいない。だから、僕も未だ彼の方を向いていようと想う。そして、彼の作品に触れ、出来る限り理解し、彼とシンクロしたい。彼は僕であり、僕は彼なのだ。彼を見ている僕は、僕を視ている彼なのだ。だから、僕のテロルも終わらない。君のテロルを受けて、僕のテロルは今日も進行していく――。
未だ、この作品について語り足りない部分は山程ある。心に何か、重いものが滞っているようで、非常に気持ち悪いのだが、私が凡てを語り尽くすのは、彼の作品を凡て読了した後に取って置きたいと想う。雑誌掲載分は一先ず置いておいて、取り敢えず既刊のノベルス全巻制覇だ。オー!