chronic life

地下室の屋根裏部屋で

滅入ノレ

 あの日以来、穂積は一度も洗濯をしていない。安い新品の服や下着を長いこと着たきりにして、耐えきれなくなったらまた新しいものに着替えると云う生活を、もう四年以上も続けていた。「あの日」とは勿論、3.11のことだ。
 どうしてそんなことになってしまったのか、穂積にも理由はよく判っていない。ただ「洗濯するのが馬鹿らしくなった」と云う気持ちはある。人に会うことも、外出することさえ稀な毎日を送っているから、何とかなっているようなものだった。不潔で不経済だと頭では理解しているが、クリーニングに出すよりは安上がりだったし、第一洗濯機を修理するのも億劫なのだ。どうせ、そう長くは続かないだろうと思いながら、また一日が過ぎてゆく――。