とても阿部和重らしいような、何だかいつもの阿部和重っぽくないような、不思議な作品でした。まぁ、個人的にこういう終わらせ方は凄く好きですけどね。誰の言葉を一体どこまで信用するのか。いや、信用出来るのか――。それを考えていくと、一気に物語の底が抜けていってしまいそうだったので、読んでいる途中で気にしないようになっていったんですが、もしかしたらそれが非常に重要なことだったのかも知れません。あまり、詳しいことは書けませんが。それと、確か福永信が『群像』の最新号で書いていたような気がするんですが、これは残りが後どれくらいか判らない状態で読むのが、一番ワクワクするだろうと想います。そんなに波乱万丈でジェットコースターみたいな展開と云う訳でもないんですが(そう読めなくもないけれど)、もし携帯サイトのように終わりが見えない媒体で本作を読んでいたとしたら、僕もまた別の感想を抱いていたかも知れませんし。何はともあれ、タイトルが格好いいです。後、装幀も。
- 作者: 阿部和重
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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