一番判り易く説明すると、博多の屋台と云う一つの舞台だけを共通設定とした、イッセー尾形版『スジナシ』三本立てがメインで、その合間に素のイッセーさんが普通に博多の屋台街を巡っている画がちょっとだけ挿入されると云う、なかなかにマニアックな作りだったんですが、僕はとっても大好きでした。録画しといて正解だった。基本的なシチュエーションと設定以外は何も決まっていない状態で、一人芝居のパイオニアと云っても過言ではないイッセー尾形さんとがっぷり四つで相対するのは、大泉洋、小松政夫、石田ゆり子(登場順)と云う、これまた何とも一癖も二癖もある面々で、彼ら三人とイッセーさんの演技と素を絶妙に行き来してしまう表情や言葉、その一挙手一投足(と書くほどの動きはそんなになかったですけど)が、大変面白うございました。屋台が舞台な訳ですから、大抵お互いに酒が入っている状態の設定な訳で、通常だったら云えない/云わないような、薄皮一枚を隔てた本音と建て前の応酬、それら凡てがアドリブだと云うのだから、これをやるのは本当に大変なことだっただろうなぁ、と観ているだけの僕でさえ感じてしまいました。個人的に一番好きだったのは、石田ゆり子さんとの回での「日舞」の件ですね。その時のイッセーさんと石田さんの間(ま)と云うか、空気感が最高に面白かったです。まぁ、「二○加煎餅」は別格としてですけど。とにかく、非常に大満足の出来栄えだったので、場所やゲストを変えながら、三箇月に一度くらいこういう番組があるととても嬉しいなぁ、と想いました。NHKさん、宜しくお願い致します。
http://www.nhk.or.jp/summer/gtv/gtv22.html