恋愛と云うか、人を愛すると云ったことから降りようと想ったのは、二十三歳の秋だった。
全くもって、僕の個人的な事情ではあるのですが、角田光代の最新作と浦賀和宏の最新作の間に、島本理生のデビュー作を読むと云うのは、なかなかどうして稀有な体験だったような気がします。あまりにも、描かれているものが遠過ぎて。因みに上記の一文は、本作からの引用ではなく、つい最近僕自身が発表した小説(のようなもの)からの抜粋です。つまりは、そういうことでして。恋愛小説や恋愛を扱ったドラマや擬似恋愛的な要素のあるバラエティ、それに他人の恋愛話を聞いたりするのは大好きなんですが、「恋愛」そのものについての興味は、決定的に、絶望的に失せてしまっている、と云うことをとても痛切に感じてしまいました。後、「若さ」も。これまた、「青春」は大好きなのに「若さ」は苦手と云う、僕の非常に微妙な好みが出てしまった結果のように想われます。とは云え、この一冊の中では、昔の作品に遡れば遡るほど、面白く感じてしまったと云う矛盾も抱えてはいる訳ですが。それに、解説で長嶋有さんが書かれていることも、判るには判るんですけどね。取り敢えず、次の『リトル・バイ・リトル』にも挑戦してみるつもりです。
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/16
- メディア: 文庫
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