chronic life

I can (not) have relations.

この本が、世界に存在することに/角田光代/メディアファクトリー

読了。本をテーマに書かれた九つの短篇と、書き下ろしの「あとがきエッセイ」が収録されている短篇集。素晴らしい。素晴らし過ぎて読み終わった瞬間、想わず一人きりの部屋でスタンディングオベーションをしていた。恐らくこんなことは、生まれて初めてのことだっただろう。短篇集としては、今年読んだ中でブッチギリ、生涯通しても、ベスト3に入るのではなかろうかと云う大傑作。
元々、僕がこの本を読もうと想ったきっかけは、昨年「ダ・ヴィンチ」の創刊10周年記念で制作された、角田光代京極夏彦の朗読CDに収録されていた「旅する本」と云う作品にいたく感動したからで、こんな面白い作品が纏まった短篇集なら、さぞかし素晴らしい筈だと当たりを付けていた訳ですが、全くもってその通り。俺、偉い(笑)。
全作素晴らしいのですが、個人的に特に良かったのは「彼と私の本棚」と「引き出しの奥」。各短篇毎に本文レイアウトが違うんですが、皆絶妙なんですなぁ、これが。うーん、素晴らしい。
この本を読めたことを、心から感謝したいと想います。本を愛する凡ての方に、この本を捧げたいと想います。是非――。