chronic life

I can (not) have relations.

螢/麻耶雄嵩/幻冬舎

タカタカタ・タータ・タカタカタン
ま、麻耶だ……麻耶でしかない。
誰が何と云おうと、是は麻耶でしか在り得ないのです。待った甲斐があったと云うものだ。麻耶雄嵩、此処にあり!
世に、再読を誘う小説――ミステリーは数あれど、本作程途中で振り返りたくなる小説は他に読んだことが無い。読み終える前に読み返したい。そんな感覚は初めてだった。
ファイアフライ――螢と云う名を冠された館で起こる、衝撃の事件。そこに幾重にも折り重なる、螢、螢、螢……。恰も闇夜を舞い飛ぶ螢の群れのように、皆の視界を、そして心の中さえも侵していく。読んでいく内に、自分さえもその呪縛に絡め捕られていく。そして最後に待ち受けているのは、決して誰も予想出来なかった怒涛の終局。そして僕は、螢に打たれていく――。
掛け値無しにミステリ好きにお薦めしたい、傑作。今年の年間ベスト、最有力候補。是は『鴉』と並ぶ、麻耶の代表作となるだろう。矢張り、麻耶の長篇に外れ無し。若し今「一番好きな作家は誰ですか?」って訊かれたら、多分僕は迷わず「麻耶雄嵩」と答えるだろう。
そしてにしても、綾辻氏の『暗黒館の殺人』の、僅か二週間前に是をぶつけてくるとは、麻耶――いや幻冬舎は、何てことをしてくれたんだろう。是は麻耶雄嵩に因る、最高の館ものである。その一部始終を、貴方も刮目して見届けて欲しい。
うわぁ〜。ぶっちゃけネタバレ全開で語り合いたいっス。そして、既に再読したくてウズウズしております。うわん。
折角なので、二日連続だけど書影を掲げてみる。いや、本当皆読んだ方がいいよ。絶賛大プッシュです。出来れば「失禁!」とか云いたいけど、そんな度胸は無いのでした(笑)。
タカタカタ・タータ・タカタカタン

螢