chronic life

I can (not) have relations.

前田司郎『生きてるものはいないのか』白水社

 生と云うのは、降っている雨粒のようなものなのかも知れない、と想った。要は、雨雲から雫になって滴った瞬間が誕生の時で、地面やら人やらアスファルトやらに打ち当たり、雨粒としての個性を失くしてしまう瞬間が、死なのではないだろうかと――。と云うようなことを読みながら考えていたら、本書の「あとがき」にバッチリ同じようなことが書いてあって、どうにも前田司郎には勝てないなぁ、と云う気になりました。さて、この戯曲を読んだら、笠井潔は一体どんな感想を持つことでありましょうか。どっかで書評とか書いてないかなぁ(書かないかなぁ)。
 因みに、本作で念願(だったかどうかは判りませんが)の第52回岸田國士戯曲賞を受賞。おめでとうございます。パチパチパチパチ!

生きてるものはいないのか

生きてるものはいないのか