chronic life

地下室の屋根裏部屋で

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』河出書房新社

気になったところに付箋を貼りつつ、その付箋にちょっとしたメモ書きをしながら読み進めた。凄く面白かった。しかし、その面白さの本質を詳らかにするのは非常に難しい。なので、その付箋を貼った箇所の中から幾つか実際に引用し、その後にメモ書きしていた内容を(ほぼ)そのまま書き添えることにしたい。こういう感想の書き方をするのは、少なくとも僕は初めてのような気がしている。まぁ、忘れているだけかも知れないけれど。さて、無駄話はこれくらいにしておこう。

 アイスティーの水面で、「ジョナサン」が揺れる。グラスの文字が、映っているのだった。(p.11)

何とか巧く構成し直して、このフレーズを書き出しに持ってこれなかったものだろうかと想うほど、実に書き出しっぽい。しかも、いい書き出しだ。

 質問の答えです。僕の好きな食べ物は、サッポロ一番塩ラーメンです。(p.114)

こういうフレーズがサラッと出てくる小説が、僕は大好きである。

『上手く喋れないけど、わかって欲しいの』としか考えていない人の言葉に、耳を傾けたいと思う人はいません。どうしたらいいのかは、自分で考えてみてください。(p.115)

むむむ、要注意。

 どこにも理想郷はないし、理想の友だちもいない。
 会社は辞められるけど、この世界から出て行くことはできない。腑に落ちないことだらけの世の中でも、ここでメシを食わねばならない。ばかばかしい女性扱いを受けると、吐き気がする。でも、私は人とコミュニケーションを取って、人を好きになっていくのだろう。悩みながら、自分の考えを伝えるのだろう。(p.189)

当たり前のようなことでも、忘れがちなら何度書いたっていいのである。いや、寧ろ何度も書いた方がいいのだ。だから、面白い小説は書かれ続ける。

浮世でランチ

浮世でランチ