よく出来たミステリーだと想う*1。素直に「巧い!」と唸ってしまう。が、どうしても手放しで絶賛出来ないのは、やはり読んでいる最中あまり楽しめなかったからだろうか。「ミステリーとしては面白いのだが、小説としては……」と云う、どこかの御仁が云いそうなことをうっかり口走ってしまいそうで怖い怖い。いや、そんなに恐れることもないのかも知れないが。何と云うか、こんなにいい素材ならもっと高級そうな料理にも出来るだろうに、どうしてこんなチープな作りに……と、想わず考えてしまうが、そこが持ち味なんだから仕方ないよなぁ。そのチープさが生きてるって部分も少なからずある訳だし。うーん、褒めたいのかそうでもないのか、自分でもよく判らなくなってきた。ミステリーとしては、本当にいい作品だと想うんだけどなぁ。取り敢えずアレだ、僕は東川の描くキャラクターとは相性が悪いと云うことだ。特にお嬢様系。『館島』と本作で、それだけははっきりした気がする。最近はもう、全然頭がミステリー系じゃないからなぁ。嗚呼。
- 作者: 東川篤哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/09/26
- メディア: 新書
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*1:文意は褒めている筈なのに、どうしてこういうフレーズは微妙に否定的なニュアンスを含んでしまうのだろうか?