作者とシリーズキャラクターの名前を伏せられていたら、恐らく僕はこれを書いたのが誰だか判らなかっただろう。いや、それだけだったらまだ、章題とかで気が付くかも知れない。「嘲笑うかのような再現」とか「推理はフーガを織りなす」とか、如何にも竹本さんらしいし。とは云え、僕が竹本作品に求めている狂気や歪み、或いはメタ的要素と云うのは殆どなくて、かなり拍子抜けしてしまったのは事実です。普通に面白いとは想うんですが、竹本さんに関しては、とても普通では満足出来ない訳です。そういう意味では、「遅れてきた屍体」のホワイダニットと犯人特定の流れとかはちょっと好き。こういう歪な脱力感と云うのも、竹本作品の味の一つだと想うので。全体としては些か消化不良だったので、なるべく早く『ウロボロスの純正音律』を宜しくお願いします。
- 作者: 竹本健治
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/04/20
- メディア: 新書
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