chronic life

I can (not) have relations.

ナンバーワン・コンストラクション/鹿島田真希/『新潮』2006年1月号所収

これは、ファンタジーですね。野島ドラマがファンタジーであると云うのと同じ意味で。そう考えると、色々な側面で野島ドラマとの共通点も見えてきて、特にS教授とN講師の会話なんて、まるで『リップスティック』の有明と牧村の会話のようで、個人的にはとても楽しめました。それ以外にも、『美しい人』や2003年版『高校教師』とどこか通じるような問題意識や葛藤も感じられて、全体的に実に野島的だなぁ、と想いました。そういう意味では、なかなかいい着地点だったんじゃないかと。建築絡みの話については、正直読み解けている自信があまりないのですが、それはこっちの問題なので。と云うか、最近気が付いたんですが、そもそも僕はメタファーとかの類があんまり得意じゃないっぽいですね。そういう、裏を読むような読み方が出来ないと云うか……。結構、書いてあることをそのまま鵜呑みにしちゃうタイプの読者なので。まぁ、良し悪しですが。
それにしても、これで今回の芥川賞の候補作を三作読んだんですが、どれもこれも好きな作品で、それはそれで如何なものか、と云う気がしてきました。或いは、『新潮』が好きなだけかも知れませんが。