chronic life

I can (not) have relations.

約三十の嘘

観ました。これで大谷健太郎監督の作品は、現在公開中の『NANA』以外は全部観たと想います。お気に入りの監督なので。とか云って、まだ三本ですけどね。
三年振りに一緒に仕事をした詐欺師のチームが、仕事の帰りに乗った寝台特急の車中で、稼いだ金が消えてしまう。さて、犯人は一体誰なのか、金はどこに行ったのか――なんて紹介をしてしまうと、この映画の本質には、全然触れていないように想う。やっぱりいつもの大谷監督らしく、肝は登場人物達の微妙な人間関係と心の動きにある。お金の行方は、正直途中からどうでもよくなってしまう。と云うかそもそも、上記のような粗筋にしては、金が消えるタイミングと一応の行方が発覚するタイミングが近過ぎて、そういった部分であまり物語を牽引する気がないのは見え見えなのだ。なので、そう云ったサスペンスと云うかコンゲーム的趣向を期待されると、恐らく肩透かしを食らうのではないかと。はっきり云ってしまうと、これは恋愛映画なのです。
登場人物はほぼ、メインキャストの6人だけで、しかもその面子が超豪華。椎名桔平中谷美紀妻夫木聡田辺誠一、オマケに八嶋智人と来て、僕にはこの映画を観ようと想わない人の気が知れない――と云うほどの素晴らしい役者陣。で、実際の演技も本当に素晴らしかった。特に中谷美紀は、ここ数年で最高の美しさ&『ケイゾク』以来のハマりっぷりで、正直観終わるのが惜しかった。コメンタリーで、監督やPが絶賛しているのも頷ける。後、音楽が全篇CKBで、これがまたよく合ってるんだ。
全体的に、予想していたよりも多少甘い雰囲気ではあったけれど、充分期待に応えてくれる出来でした。さて、『NANA』はどうしたもんかな……。

約三十の嘘 特別版 [DVD]

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