chronic life

I can (not) have relations.

世界の果てのカレイドスコープ 「ミステリの明日」を解読する/野崎六助/原書房

読了。今回の一番の目的は、『ユリイカ』の西尾号でも言及されていた、書き下ろしの「ゼロゼロ・リサイクル・クロニクル」である。此処で主に語られているのは、西尾維新佐藤友哉北山猛邦と云う、『ファウスト』の合宿メンバード真ん中である。あ、ド真ん中って表現は訝しいか(笑)。本論ではこの三人に、舞城と乙一を加えたメンバーのことを、仮に「ゼロゼロ世代」と呼ぶことにしている。まんま、『ファウスト組』な訳だが*1
で、特に全体の半分近くを費やして語られているのが、西尾。此処で語られている仮称「ゼロゼロ世代」に関する論は、非常に興味深く示唆し富んでいて、各実作者のファンであれば、一読の価値がある。ファンではなくとも、この周辺の動きや作品について、多少なりとも関心のある方は、この項だけでも読んでみればいいと想う。なるべく、時が過ぎて語られている内容が風化してしまうその前に――。
他の処も面白かったよ。冒頭に収められた『哲学者の密室』の長めの文庫解説*2や、京極論に『フリークス』の解説*3、それに埴谷雄高の『死霊』が全集で(全九章が)一冊に纏まった時に寄せられた文章、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』について書かれたもの等、私の琴線に触れるものが多かった。

*1:タッキーが入ってないのは、書かれた時期的なものもあるし、論者が野崎さんだと云うこともある

*2:光文社文庫

*3:こちらも光文社文庫