chronic life

地下室の屋根裏部屋で

角田光代『ロック母』講談社

 私はもうウォークマンを必要としていない。しゃかしゃかと音が漏れるほどの大音量で、外界と自分を隔てる必要がない。目を閉じ、音の洪水のなかで、訪れたことのない異国の地を思い浮かべる必要もない。(p.175)

 まぁ、別に賞を取っているからと云う訳でもないんですが、やっぱり表題作の「ロック母」が一番面白かったですかね。「父のボール」は、初出の文芸誌*1に掲載された時に一度読んでいたので、この短篇集の中では唯一の再読だったんですが、実際に自分の父親が死んでから読み直してみると、また深みが増すと云うか、色々と考えさせられました。薄々気付いてはいたんですが、僕は角田さんの作品の中でも特に、家族をメインに描かれたものが好みなようです。

ロック母

ロック母

*1:『群像』2006年10月号