chronic life

I can (not) have relations.

法月綸太郎『法月綸太郎ミステリー塾 日本編 名探偵はなぜ時代から逃れられないのか』講談社

はまぞう*1表示されている書名が微妙に違っているんですが、まぁいいか。殆ど未読の作品について書かれていると云うのに、どうして読もうと想ったのかと云うと、よく考えたら法月さんのちゃんとした評論って読んだことないような気がするなぁ、とぼんやり想っていたところ、目次の中に「小川勝己は転向したか?」と云う非常に興味深いタイトルが並んでいたからで、後は笠井潔論の「大量死と密室」や島田荘司論の「挑発する皮膚」は、もし仮にこの機会を逃したら、もう一生読まないで済ませてしまうかも知れない、と云う多少の危機感もあったりして――と云ったところでして。はぁ。読むに至った経緯を説明しただけで、結構な長さになってしまった。実際の内容に関しては、言及されている作品をほぼ読んでいないと云う、僕の側の致命的な欠点を除けば、非常に上質な評論集だったと想います。面白かったです。昨日の今日で些か気が早いと云う自覚はありますが、来年の本格ミステリ大賞の【評論・研究部門】はこれで決まりでいいんじゃないですかね(超無責任な発言ではありますが)。

*1:と云うかAmazon