chronic life

I can (not) have relations.

探偵小説と二〇世紀精神/笠井潔/東京創元社

読みました――が、やっぱりこういった類の評論集は感想が書き難いなぁ。大変興味深く、それに読んでいて非常に面白かったんですが、どうにも言葉が出てこない。とは云え、何とか頑張ってみるか。えーと、『ミステリマガジン』で連載されている「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?」の単行本第二巻なんですが、何故か出版元は東京創元社。それはさておき、大きく二部に分かれた評論の第一部において展開されている、クイーンの『ギリシア棺の謎』や『シャム双子の謎』などを通じての論考が非常に素晴らしい。クイーン一冊も読んだことないけど。それと、前半の連載は『オイディプス症候群』のリライトの時期と重なっていたようで、共通する話題のようなものが見え隠れしていた。後半は「第三の波とポストモダニズム」と云うタイトルに相応しい、思想的な論述がメインだったように想う。個人的には、竹本健治氏の諸作について触れられていた箇所が印象に残った。巻末には法月綸太郎氏との対談も収録されており、何とも盛り沢山の内容であった。近々刊行される予定の第三巻にも期待がかかる。
何だか妙に畏まったような文章になってしまったのは、一体どうしてなんだろうか?