chronic life

I can (not) have relations.

妖怪大戦争

「戦争は、いかんです。腹が減る、だけです」

先週の『金曜ロードショー』で放送されたものを録画で観ました。TV版の編集が酷い*1と云う意見や感想を各所で目にしていたもので、些か観渋っていたのですが、やはり水木大先生のあの一言を聞くのに最も相応しいのは今日しかないと想い直し、漸く観る決心がついたと云った次第です。因みに、完全版――じゃなかった、劇場公開初日に観て書いた、大絶賛の感想はこちら(id:thebomb:20050806:1123410055)です。
と云う訳で、上記リンク先の感想を読んでいただければ、僕がどれだけ映画館で観た妖怪大戦争』を面白いと想ったかは、かなり伝わったことでしょうから、今回はやはり、TV放送するに当たって行われた編集について、触れない訳にはいかないでしょう。些か厳しい発言をしていたり、TVでは流れなかった部分についてのネタを割ったりもしておりますので、後は続きをご覧下さい。出来れば、映画館かDVDでフルサイズのものを観た方のみ。

先ず、大前提として何故ノーカットで流せなかったのだろうか。まぁ、これは恐らく単純に尺の問題だと想われます。もし仮に、オリジナルが90分ほどの映画であったなら、普通にノーカットで流したことでしょうから。しかし、問題の本質は勿論そんなところには全然なくて、多くの映画がTVで放送される場合、本来の尺よりも短く編集し直されていると云うことは、半ば常識と云ってもいいくらいで、僕は今更そんなことに目くじらを立てている訳ではないのです。では、何がここまで僕を哀しくさせるのか。それはやはり、あの終わり方だと想う。そりゃあ、前半や中盤にも、確かにカットされていたシーンはあった。件(くだん)とか柄本明さんとか、どこ行ったんですか?って感じだし、読書好きのホームレスって一体どこに出てたの?と問い質したいくらいだけれど、そういう細かいことを云い出したらキリがないし、それは不毛な気もしている。ただ、ただ、しっかりとあそこでビールを登場させておきながら、凡てが終わった後のタダシと佐田の「白い嘘」のシーンと、更にエピローグの大人になったタダシのシーンを完全に切っていたのは、非常に由々しきことだと想う。あの終わり方があってこその『妖怪大戦争』だっただろうに。何故だ、何故なんだ……。どうして、こんな暴挙に踏み切ることが出来たのだろうか? 僕は、それが不思議で仕方がない。そして哀しい、哀し過ぎる……。
しかし、それでもやはり、僕は今日この映画を観たことを後悔してはいない。あれだけ多くの妖怪達が東京に集結した理由が「祭りだと勘違いして」だったり、本篇ではなくエンドロールの脇ではあったけれど、しっかりと水木大先生の至言もちゃんと流されていたから、TV版だけを観た人にも、この映画の最も大切なメッセージの一つはちゃんと伝わった筈だと信じたいからだ。どっかの誰かさんにも、終戦記念日にはよほどこの映画を観て欲しいと想ったくらいに。いかん、キーボードが滑ってしまった……。それにしても、何回観ても一本だたらは田口浩正さんに見えないよなぁ。って云うか、顔とか殆ど判んないし。

*1:特にラストはバッサリ!