chronic life

地下室の屋根裏部屋で

シュガーな俺/平山瑞穂/世界文化社

 そう、僕の人生は、十分に甘い。(p.234)

帯に「世界初の糖尿病小説!?」とあるけれど、確かにそんなの聞いたことがない。そもそも、ストーリーの一要素や登場人物の設定の一つとして、病気が小説*1に登場することは数多あれど(白血病やら心臓病やら結核やら末期癌やら……って書いてて憂鬱になってきた。あ、鬱病なんかの精神病も結構出てくる)、病気そのものがメインに据えられた小説と云うのは、基本的に少ないような気がする(患者自身の書いた手記や、医療に拘わる人の著した実用書的なものは除く)。そうがどうした?と訊かれると、いつもは大抵返す言葉がないんですが、今回は珍しくちゃんと返答出来ます。つまり、まだまだ小説のテーマになっていない事柄が世の中にはゴロゴロしている、と云うことです。こう云っては不謹慎極まりないかも知れませんが、それでも僕は、この状況を楽観視しています。云い換えれば、甘く見ています――。そんな、シュガーな僕です。

シュガーな俺

シュガーな俺

*1:や映画やドラマやその他色々