chronic life

I can (not) have relations.

将棋殺人事件/竹本健治/創元推理文庫

読了。創元推理文庫から出ている、ゲーム三部作の復刊第二弾です。そろそろ来月位には三作目の『トランプ殺人事件』が出る筈なので、買ってからそのまま放置していたのだけれど慌てて読みました。
面白かったー。色んな意味で竹本節が活きてましたね。ある種の狂気とペタンドリー、不思議な謎と眩暈を覚えるような幻惑感、深い霧の中を彷徨うような拡散と収束……。良いです。
『将棋殺人事件』とは云っても、実際に作中に出て来るのは所謂指将棋ではなく詰将棋。その癖、何処も彼処も将棋だらけで、何時の間にやら何もかもが繋がっていく様は圧巻、と云うか茫然? 事件に関係する処しか出て来ないんだから、当たり前と云えば当たり前なんだけど、「やっぱりそれもかよ!」って感じのツッコミは入れ放題。
ラストのオチは、当時は画期的だったのかも知れないけど、今は正直(ミステリーに限らず)手垢がついた感はあるのだけれど、しかしそれが一体何だと云うのだろう。面白いものは面白い。ワクワクするものはワクワクする。唯それだけ。それにやっぱり結局是って、普通に犯人を名指して事件が解決して目出度し目出度しって話じゃ無い訳で、そういう意味でもやっぱり竹本さんは竹本さんだなぁ、と。この調子だと『トランプ殺人事件』はどうなることやら。ある方から『定本 ゲーム殺人事件』を戴いたので、読もうと想えば読めるんだけど、やっぱ創元推理文庫で集めたいからなぁ。後一月待ちますか。
兎も角、僕は竹本健治が大好きです。以上――。