chronic life

I can (not) have relations.

古川日出男『僕たちは歩かない』角川書店

莫迦の一つ覚えみたいで少々気が引けるんですが、これは「大人の絵本」と云うのが最も適切な表現かな、と。個人的には、ストーリーの展開云々と云うよりは、描写と云うか文章と云うか、古川節を堪能したって感じですかね。一度そのリズムにハマってしまったら、ある種中毒的な心地良さがあるんですよね。もう、とにかく読んでいるだけで気持ちがいいと云うか。後、そんなに古川作品を読んでいない僕が書くのもあれなんですが、古川さんって料理人好きですよね。それに「インスピレーションを捏ねたり、炒めたり、さっと炙ったりする」と云うのは、古川さん自身にも当て嵌まることなんじゃないかなぁ、と想いました。非常に素晴らしい前菜を食した後のような読後感が残りました。ご馳走様でした。

僕たちは歩かない

僕たちは歩かない