chronic life

I can (not) have relations.

太陽の塔/森見登美彦/新潮文庫

いつもの調子だと、「面白かった」と云うことを如何に何度も云い換えて、それっぽい文章にするか、と云うことに終始してしまいそうなので、今日はちょっと違う感じにしたい。と云うか、そういう気持ちにさせてくれる小説だった。いやはや、参った。
本書を片手に、京都の街を散策したくなったと云ったら、それは間違った読み方だろうか。いや、多分大丈夫な気がする。それくらいの妄想、許容されない訳がない。柴崎友香の『きょうのできごと』をポジとすると、こっちはネガ――なんて云うと、それはそれで違うんだよなぁ。けど、『きょうのできごと』の西山は、結構『太陽の塔』に近いと想う。あ、坂本もかも。水尾さんより邪眼*1の方が可能性ありそうに感じてしまうのは、僕の目が曇っているからだろうか。まぁ、語り手*2はそんなこと望んじゃいないだろうけど。僕にとってのこの小説のクライマックスは、p.226からp.227にかけての一段落でした。ここはかなりいいですね。三回くらい音読したもの。全篇通して、文体がとても好きな感じだったんだけど、今このタイミングで読んでしまったせいか、どうも脳内で『吾輩は主婦である』の本田博太郎さんの声になってしまいがちで、少しばかり往生した。だって……似てるよ、これ。それはいいとしても、やはりこの文体は非常に魅力的だと想う。何と云うか、判り易く云うと、真似したい。

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*1:凄い仇名だ……

*2:名前出てきたっけ?