chronic life

I can (not) have relations.

告白/町田康/中央公論新社

痛い。痛過ぎるのだが、それ故に心の底から痺れずにはいられない。こんな小説を書かれたら、僕はもう町田康に心酔するしかないではないか。何とも罪作りな、嗚呼、罪作りな。小説を読んでいて、時に「こいつは俺だ!」と深く痛感する瞬間と云うのがあったりするけれど、城戸熊太郎に関しては、最早そんな領域をとっくに飛び越えていて、僕が『告白』と云う小説を読んでいると同時に、僕=熊太郎が自分の人生を追体験しているような感覚で、この物語に触れていた。それはある意味、苦行であり懺悔であった。だからこそ、熊太郎の最期の言葉には、本当に心が揺さ振られ、涙が溢れた。この感情は、一体何なのだろう……。微妙に言葉を濁すが、お正月の風物詩を通しての世界認識が、あまりに僕の感覚と似通っていて、もし本当にこれを町田康が書いたのだとしたら、僕はもうどこにも行けない、と想った。これから僕は、一体どんな風に生きていけばいいんだろうか。

告白

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