chronic life

I can (not) have relations.

殉教・微笑/小島信夫/講談社文芸文庫

著者の初期作品を九篇収録しているのですが、これまで僕の読んだ三作の長篇とは大きく違うようでいて、やはりどこか繋がる部分もあるような、どうにも不思議な感覚でした。特に「微笑」には、『抱擁家族』や『うるわしき日々』と似た雰囲気を感じました。「似た」と云うか、まぁそういうことです。前々から判っていたことではあったのですが、やはり僕は、戦争や軍隊を扱ったものが極端に苦手で、この中でも「小銃」や「星」辺りは、正直読むのがかなり辛かったです。ただ、同じように「城壁」も軍隊の話ではあるのですが、ちょっとシュールと云うか、現実離れした展開だったので、その分何とか楽しむことが出来ました。しかし、一体何が、僕にここまで戦争や軍隊を嫌悪させるのだろうか……。さて、特に気に入った作品は「憂い顔の騎士たち」「微笑」「殉教」辺り。「吃音学院」「アメリカン・スクール」も良かった。いやいや、「愛の完結」も捨て難い。だって、終わり方はこれが一番好きですもん。
次は是非、『別れる理由』に挑みたい所存です。

殉教・微笑 (講談社文芸文庫)

殉教・微笑 (講談社文芸文庫)