圧巻。とにかく凄かった。何から、何まで。読んでいる最中、雰囲気の類似を一番感じたのが、清涼院流水の『カーニバル』三部作*1だった。はっきりどこが似ていると云う訳でもないのだけれど、強いて云えば、書かれている内容の勢いとそれを描く筆致の距離感が似ている、と云えるかも知れない。或いは、「自分の出来ることを全部やり切ってやろう!」と云う心意気も、近いものがあるように感じた。それにところどころ、「文SHOW」っぽい部分もあったし。その流れで云えば、この作品は「小説」ではなく「SHOW説」である、と云ってもいいかも知れない。いや、案外ボケとかじゃなくて、真剣に「SHOW説」ってピッタリな気がしてきた。ストーリーの展開や書き振りも凄いですが、ネーミングセンスなんかも、流水御大とか西尾維新とかで驚いてる場合じゃないですね。寧ろ普通の名前の人が殆どいないので、敢えて例を出すこともないほどに。パッとどこの頁を開いても凄い。そんな感じ。
本当、極上に面白い小説でした。あ、「SHOW説」でした(笑)。
- 作者: 小林恭二
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1999/11
- メディア: 文庫
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*1:文庫版は五分冊