やはり高橋源一郎は、僕にとって父親(的存在)なんだなぁ、と改めて痛感した。「序文」からして既に相当ヤバいのだが、「いつか同時代カンガルーになる日まで」と「キン肉マン対ケンシロウ」でその想いは確実なものとなり、「連続テレビ小説ドラえもん」に至っては、子供の僕でさえその暴走っぷりに驚嘆してしまった。更にその中でも特に「菊池桃子だよ全員集合の巻」のマッドさには、正直舌を巻いた。これは凄い。と云うか、こんなの本当にいいのかよ。よく出版出来たなぁ、マジで。一方、表題作の前後編は、何だか非常にセンチメンタルな印象を受けた。しかし、それらがヤバい短篇達を挟み込んでいることによって、奇蹟的に一冊の短篇集としてのバランスを保っているようにも想えた。けど、そんなこととは全く無関係に、「ペンギン村に陽は落ちて―後編」のラストなんざ、感動以外の何物でもなかった訳ですが。素晴らしい。
一つだけ気になるのは、「ドクター・マシリト」とか「サザエさん」とか「月影先生」とか、そういう固有名詞を一切知らない人が読んだら、一体どんな風に想うんだろうか、と云うことでして。いや、それはそれで楽しめるんだろうけど、そういう人の感想も聞いてみたいな、と云う意味で。あー、この段落蛇足だったかなぁ。
- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1992/08/01
- メディア: 文庫
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