chronic life

I can (not) have relations.

殉教カテリナ車輪/飛鳥部勝則/創元推理文庫

読了。最近めっきり嵌っている、飛鳥部勝則のデビュー作で、第九回鮎川哲也賞受賞作。鮎川賞受賞作を読むのは、多分二作目。ちょっと長いのと、軽くネタバレっぽいことを書いてるので、隠しておきますか。
あまりに真っ当な本格ミステリー。一読後に僕の頭に浮かんだのは、そんな一言だった。まさか、飛鳥部を読んでそんな感想を漏らすことがあろうとは……って、失礼ですね。
例によって、作中作とか入れ子構造とか大好物な訳ですが、それがまさかあんなことになるとは。確かにちょっとおかしいなぁと想って、軽く当たりを付けていたことはあったんですが、まんまと裏切られましたよ。やるな、飛鳥部。……あ、ヤバい。こういう書き方をしただけで、どういうネタかバレてしまうと云う話を、某所で学んだ筈なのに。それでも書いちゃう俺の莫迦。ま、そういう形式をとると云うことは、それなりに意味があるってことですからね。
人によっては、殺人が起こって警察が登場してから、作品の雰囲気が変わったと想うかも知れませんが、僕は寧ろそれ以降更に読む手が止まりませんでしたね。あの密室トリックも、結構好きだし。手記のラストのところとか、震えが来ましたよ。
絵とか図像学については全く触れてないですが、敢えてそういう部分で敷居を高くしたくないので、意図的に避けてみました。と云うか、絵のことは絵に訊け、ってことですけどね。後、読み終わってから改めて考えてみると、タイトルが実に秀逸だなぁ、と。
そんな訳で、お気に入りの作家の作品は、実際以上に面白く感じてしまっているのかも知れませんが、かなり大満足でした。いやはや、益々飛鳥部熱が高まりました。全作制覇、しますよ。

殉教カテリナ車輪 (創元推理文庫)

殉教カテリナ車輪 (創元推理文庫)