正直、上記の訃報のショックが余りに大きくて、今夜はまともにTVが観られなかった。『愛し君へ』とか最終回だったけど、ぶっちゃけ殆ど内容が頭に入って来なかった。こんなことは、本当に珍しい。と云うか、初めてかも知れない。それ位、本当に大ショックだったのだ。ミステリーと連続ドラマの融合と云うのは、僕の目指していた目標の一つだったし、現状で、それを一番体現していたのは、野沢尚その人だったのは疑う余地の無い事実だったのだから。
さて、その間に読了した本の感想から大きく逸脱して、現在の自分の心境を語ってしまうのも、その衝撃の大きさ故と想って、ご容赦戴きたい。
改めて本書は、笠井潔による、『すばる』誌へのエンターテイメント時評の連載を纏めたものである。その時期は、96年初頭〜98年末迄の丸三年。書評の数は丁度36作。まぁ、月刊誌だから当たり前か。
誠実に書くと、自分の気になる作品のものだけ拾い読みをした。好意的に書いて、半数程だ。それ故のスピードであり、それ故の没入である。既読の作品、気になっていた作品、それに興味のある作者の作品……そんなのを掻い摘んでみました。
評論や書評に奇蹟は起こらない。振りが判れば、ダンスは踊れる。極上の歩行を意識することは出来なくても。