chronic life

I can (not) have relations.

名探偵はもういない/霧舎巧

うわーっ、感想書き辛いなぁ――ってのが、正直な感想。どうもね、霧舎たんのやりたいことは判るんだけど、実際に読むと一寸なぁ……と想う。多分その原因は、主に恋愛(ラヴコメ)要素の描き方なんだと想うけど、それは今作でもばっちり健在。何なんでしょう、この青い感じと云うか、絵に描いたようなこっ恥ずかしさは。それさえなければ、もっと楽しめただろうし、面白かっただろうに……。何ともはや、哀しいやら悔しいやら。
作品の構造としては、作者自身「あとがき」で書いているように、《本格》なのだろうと想う。がしかし、英米本格黄金期の作品や、本邦でも特に本格として殿堂入りしているような作品を、殆ど読んでいない身としては、本書が本格として優れているのかどうかは、正直判断が付かない。多少気になる点はあるものの、ロジックとしては一応筋が通ってるし、理解は出来る。唯、何だか感情的な面で、納得出来ないような、座りの悪いような印象を受けたのも、確かに事実。それは、上記の事柄にも拘わってくると想うのだけれど。しかし、そういう処を差し引いたとしても、趣向と云うか、小業と云うか、そういう作者のやりたかった遊びの部分は楽しめた。途中でエラリー・クイーンの偽者が出て来た辺りや、宿泊客の中から次々に警察関係者が名乗りを上げた件なんかは、想わず声を出して笑ってしまいましたがね。笑う処ですよね、霧舎たん?
と云う訳で、何だかんだと書きましたが、取り敢えず読んだ時間分位は堪能出来たかと。買って迄読もうとは想わないけど、唯で読めるならこんなもんか、と。けどまぁ、『カレイドスコープ島』は読んでみようかな、と。想わせ振りは、解消したい性格なのです、僕は。
次は、是と一緒に借りて来た、法月綸太郎の『ノーカット版 密閉教室』読みます。