chronic life

地下室の屋根裏部屋で

白夜行/東野圭吾

読了。
ハードカヴァー刊行直後、未だ高校生だった僕は、タイトルとその印象的な表紙に惹かれて地元の図書館で借り、昼夜を忘れ貪るように読んだものでした。そして、その後僕がずっと書き続けている小説*1のイメージの発端になった作品でもある――しかし当然の如く、それは完成に至っていない。
当時の僕には、余りに強烈な衝撃だったのだ。笠井潔にとっての『悪霊』や竹本健治にとっての『虚無への供物』のような……。
にも拘わらず、その後僕は一度もこの作品を再読してはいなかった。勿論、文庫版が出た時には直ぐに手に取り、ずっと手元に置いてあったのだが、どうしても手が出なかった。最初に受けた衝撃のデカさの所為もあるだろうし、単純にその文量の問題でもあったろう。まぁ勿論、その間にも『絡新婦の理』の文庫とか厚い本は色々読んでるんだけどね(笑)。
兎に角、結構久し振りの再読だった訳です。しかし案の定、僕はもう一度ノックアウトされた訳なのです。東野圭吾最高――と云うか、最早此処迄来ると恐い。恐ろしい。畏ろしい。僕は個人的にはかなり捻くれた東野読者で、彼の本も10冊位しか読んでなくて、とてもいい読者とは云えないんだけど、それでもやっぱり是が最高傑作だと想ってしまう。是程の作品を、他にも未だ書いていたとしたら、その時は本当に化け物だと想う。寧ろ、妖怪と書いて「ばけもの」と読みたい心境です。
そしてもう一度想い直したのです。僕も、こういう小説が書きたい――と。
この作品は、僕の創作家としての一つのメルクマールであると共に、生涯の目標と云っても過言ではない気がしています。それは勿論、今が読み終わった直後だからと云う、多少のトランス状態は影響しているでしょうが……。

*1:何とタイトルもズバリ『白夜』